今日はマザー2を久々にやる
まだ55歳なのに・・・。
当社 代表取締役社長 岩田 聡が、平成27 年7 月11 日、胆管腫瘍のため逝去いたしました。 ここに生前のご厚誼に感謝し、謹んでお知らせ申しあげます。
-任天堂公式サイトより引用-
僕はゲームが物凄く好きな割には、ゲームクリエイターに対して手放しで大好きだといえる人間はあんまりいない。
めちゃくちゃやり込んでいるドラクエ10だけど、特にその開発陣に対しても、思い入れはほとんどない。
そんな中、岩田聡に関しては数少ない、大好きなゲームクリエイターだった。
僕がゲームというものに冷めた後、再びゲームに熱中するきっかけを与えてくれた人物だった。
追悼の意を込めて、少しだけ僕の岩田聡に対する思い出話でも書こうと思う。
岩田聡の事をきちっと認識したのはマザー2が発売してしばらくしたぐらいの頃。
記憶がおぼろげだけど、何かのゲーム雑誌のインタビューで糸井重里が名前を挙げていて、「岩田さんは凄く優秀な人で実質彼がいなかったらマザー2は完成しなかったといっていいぐらいだよ」みたいな感じの事を言っていたように覚えている。
それで幼少時代の僕は、やっぱ任天堂ってすげー人いるんだなあ!と妙に感心した。
(当時の僕は任天堂は日本の英知が結集された超絶エリート集団だと思い込んでいた。ちなみにその頃の岩田聡は任天堂にいたわけではなくてHAL研究所にいたんだけどw)
マザー2は僕が何百本というゲームをクリアしても、全然上を行くゲームソフトが現れないぐらいに素晴らしいゲームだし、やっぱり大人になった今やっても面白い。
シナリオと音楽に関しては散々絶賛されているので置いておくとして、僕はあのゲームはテンポの良さも相当に素晴らしかったと感じている。
インターフェイスのわかりやすさ、操作した際のレスポンスの早さ、リズム良く心地よくゲームが進んでいく。
ああいうのは「わかっているプログラマー」がいないと実現できないはずだ。
実際に創る(プログラミング)人間が、操作(プレイ)する側の人間の意識に立てているかどうかというのは、ゲームだけではなく世の中の何にでもあてはまる、最も重要なポイントの一つになっていると思う。
これがプログラミングの世界ではできていない人間が異常に多い。
一流と言われる企業の、プロの世界でも盛り盛りに多い。
しかしマザー2はこの辺りがほぼ完璧に近いぐらいにユーザー目線に立った作りになっていた。
これは多分、きっと岩田聡が仕組んだ事なんじゃないかと信じている。
そういうわけで僕はマザー2が滅茶苦茶好きだ(マザー1も勿論好きだが、この理由からマザー2には遠く及ばない)。
それから数年が経って、マザー3はまだでないのかよ!いい加減にしてくれよ!と僕の欲求は限界に達しようとしていた頃、岩田聡が関わっている新作ゲームのスマッシュブラザーズというのがリリースされるというのを知った。
そのゲームをプレイしてびっくり。
これはこれで面白い・・・!
あまり対戦型アクションゲームは好みではない僕だけど、これは面白い。
爽快感というか、操作性というか、とにかくプレイしていて気持ちよい体験ができるような綿密な計算がなされているというのが伝わってきた。
やっているとゾクゾクする。
友達と徹夜で対戦しまくった。
ムカついて何度もコントローラーをぶん投げて破壊して、近所のゲーム屋に新しいコントローラーを買いに行った。
こんなにも素晴らしい体験をさせてくれるゲームに出会えるなんて・・・。
やっぱり任天堂は最高だよ!
僕は発売日にプレイステーションを購入し、今後は多分ソニーがゲームハードの覇権を握るんだろうなあと思っていた。
そして実際1998年にはソニーの勝利状態になっていた。
しかしその翌年発売されたスマッシュブラザーズをプレイした体験によって、これはきっと任天堂がまた復活するなあと思い直したほどの強烈な体験だった。
(実際任天堂がソニーを打ち倒すのはそれから7年ぐらいの年月が必要になったわけだけど、一応予想は当たったw)
そしてスマブラが発売した翌年の2000年、今も強烈に覚えている。
糞暑い、夏休みのある日だった。
マザー3の発売中止。
僕は当時、毎日のようにマザー3関係の事をインターネットで検索していた。
それほど楽しみにしていたタイトルだった。
それが発売中止になるという情報が出ていた。
信じられない。
でも、どうやら本当っぽい。
詳細がほぼ日(糸井重里の会社が運営しているwebサイト)に載っているという。
そこには糸井重里と宮本茂と岩田聡の3人の座談会形式による発売中止の発表記事が掲載されていた。
それを読んで、これは本当だとわかった。
そして、同時にそれまで物心ついた時からずっと楽しみにしてきたサイクルが終焉を迎えた気がした。
「ゲーム達をプレイして、発売情報を目にして、楽しみに待って、まだでないのかよ・・・!、でもやっぱり発売を待って、やっと出て、凄く面白くて、またある時は続編じゃない完全新作の面白いゲームに出会って感動して・・・、また楽しみなシリーズが増えて」
こんなサイクルがずっとずっと続くと思っていた。
でもマザー3は出ない。
あの、素晴らしいクリエイターだと思っている、岩田聡と宮元茂が並んで出ないと言っている。
これは出ない。
もう出ない。
そんな事ってあるんだ・・・。
この時僕はマザー3ができないという事実にも勿論残念な気持ちでいっぱいになったんだけれども、それ以上に、ゲームにどっぷり浸かって、ずっとずっと楽しいゲームが出続けて、ずっとずっと楽しくプレイし続けられるという、それまで当たり前にあったサイクルも将来消えうせるんじゃないのかなあと感じた。
だって、マザー3は出ないんだし、これから先もそれまで通り面白いゲームが出続ける保障なんてどこにもない。
ゲームといったってお金儲けなんだから、ゲーム会社が「これまでみたいな価値判断の面白いゲームでは内容が良くても儲からないなあ・・・」と判断すれば、全然つまらないけど儲かるゲームばっかり作るようになるかもしれない。
ていうかテレビゲーム自体が儲からなくなって、全然違う方向性にいってしまうかもしれない。
そんな事すら考えた。
なんだかそう考えたらちょっとゲームをやる気が失せてきた。
ゲームばっかりやって過ごしてきた自分。
これからもゲームはずっとずっと楽しいんなら、ゲームばっかりやっていても人生楽しくて最高だ。
でもゲームがつまらないものになってしまったら、ゲームばっかりやってきた自分はその時どうしたらいいのか?
そんな恐怖心すら生まれた。
そしたら自然とゲームをあまりプレイしなくなった。
ドラクエとかFFのような大好きなシリーズはプレイしていたが、完全新作を積極的に掘り下げるような事はしなくなった。
だから僕は2000年~2003年頃のゲームはあまり詳しくない。
なんだかゲームに対して冷めてしまった。
その後、しばらくの間ゲームをあまりしていなかった僕が再びゲームに熱中したきっかけは岩田聡だった。
2002年当時、彼が任天堂の社長に就任したというのを何かで知った。
そしてそれから少しして、「新しい携帯ゲーム機を発売します」と熱弁する岩田聡のインタビューを何かで見た。
これはちょっと興味あるな・・・久々にゲーム機買おうかな・・・。
あの岩田聡が社長で、プレゼンしてて、何だかちょっと期待感あるな・・・。
結局僕はニンテンドーDSを発売日に購入した。
発売日にゲーム機を買うなんてニンテンドー64以来だったので凄くワクワクした。
最初は特に「これはやべええええええええ!」みたいな衝撃体験はなかったニンテンドーDSだったけれども、それからしばらくして続々とリリースされていく任天堂製の魅力的なソフト達に僕は一気に虜になり、「やっぱ岩田聡すげーよ!ていうかゲーム超たのしー!」という感じで再びゲームばっかりする時期が僕に訪れた。
それからはゲームとは良い距離感で付き合えていた。
幼少の頃とは違い、他にも色々な趣味がある中での一つの趣味として、非常に楽しく、そして有意義な体験ができる媒体として、熱中できた。
僕にとって岩田聡はそんな感じで、ゲームとの距離感をうまい具合に調整してくれたツマミのような存在になっていた。
「ボリュームでかすぎてもダメだけど、ゲームは楽しいしそこそこにやったほうがいいすよ、ボリュームゼロは勿体ないっすよ」みたいな事を言われた気がした(完全に言われた気がするだけであり僕の勝手な妄想ですがw)
そんな岩田聡が亡くなられた。
日本のゲーム業界にとってこんなに残念な事はない。
まだ若かったし、数々の素晴らしい体験を僕に与えてくれたファンタジスタだった。
非常に悲しい。
一方的な想いだったけれども、数少ない大好きなクリエイターだった。
今日は僕の大好きなゲーム、マザー2をプレイして当時を振り返ろうと思う。
もう多分10回以上通してクリアしてるけど、まだまだ楽しめそうだ!
岩田社長、ビデオゲームにおける素晴らしい体験をありがとうございました。
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自分がゲーム開発者だったら泣いて悲しまれるより、自分の残した作品を思い出して、楽しんでくれる方がうれしいでしょうね。
モリソバ
ご冥福をお祈りします。
自分も小学生からマザー2をプレイし、
何度も何度もエンディングを見て、
大人になった後もプレイをしたものです。
今でも、好きな生物はどせいさんと言えるくらい、家にはどせいさんぬいぐるみがわさわさあります。
岩田さんあってのマザー2だったのですね…
岩田さん、ありがとうございました。
64でのマザー3の中止は、自分もとても悲しかった思い出があります。
マザー2の感動があったからこそ、
3の期待も強くて、それが中止になった時の悲しさと言ったら….
なので、しばらくあいた後の、GBAマザー1+2の発売決定、そしてGBAマザー3。
発売決定とニンドリで表紙を見ただけで
思わずウルッときたものです….
自分もまたもう一度マザー2やります。
熱い記事を読ませてもらえて嬉しかったです。
ありがとうございました。
ビジネスさんの真摯な気持ちが伝わってきました。
マザーをやったこと無い人も居ると思うけど、ぜひやってみてもらいたいなあ。ただハローそしてグッバイとかいうワープしまくるとこはあんま好きじゃないです。
任天堂は今、会社の方針がソシャゲ中心になってってる
んでしょ
それに反対してたのが岩田さん
この人Wii Uの失敗で散々叩かれて、身体壊してたりしてるけど、あれって何も知らないバカが騒いでるだけで、ハードゲー守るのに必死だったんだよね
そりゃたしかにWii Uは成功したとは言い難いけども
この人のニンダイ好きだったなぁ
任天堂と言えばこの人だったからすごいショックだった
惜しい人をなくした
この時まで岩田さんのことは、正直良く知りませんでしたが、調べれば調べるほど惜しい人を亡くしたと思います。
社長である前に開発者である、だがその前に1ゲーマーでだったという岩田さん。
このエピソードを聞くだけでも込み上げてくるものがありますね・・
マザー2ほんと面白かったなぁ。
ご冥福をお祈りします。
Good man die young. 本当に良い人ほどはやく亡くなってしまう……。もうダイレクトでのいわっちの「直接!」が見れないと思うと悲しいです。ご冥福をお祈りします。
岩田さん、残念です・・・
DS以降の任天堂のハードは
結局、任天堂にしか面白く使いこなせい物になってしまって残念な反面
いまや海外勢に押され、大人のものになってしまったゲームに対し
わかりやすい遊びを追求されていた人だったなぁって思います
任天堂の奮起に期待です
自分も岩田さんのゲームに育てられました。特にマザー2には思い入れの深い30代です。
素敵な記事をありがとうございます。岩田社長の訃報を聞いて心の中にあった思いが、まさに記事の中にありました。
今日は自分もマザー2をプレイし、過ぎ去りし日を懐かしみたいと思います。
ありがとうございます
そんな開発秘話があったんですね。ミヤッチ社長すごい人すぎる。
マザー2、最初はBGM目当てではまって、グラフィック、雰囲気とやればやるほどその世界が好きになりました。センスがたまらなく好きです。
オンラインゲームに興味が湧いた頃は、マザーの世界のオンラインゲームとか夢みましたがDQXがほぼ理想系なのでそこは欲張らないようにします^_^
本題とずれますが、どうしても気になったので、、、
MOTHER3 GBアドバンスで出てますよ。
自分はめっちゃ楽しめました。
マザー2は弟がプレイしてるのを後ろから見ているだけでしたが僕にとっても間違いなく一生記憶に残るゲームの一つだと思います。
話逸れますがやはり投稿シリーズよりビジネスさんの自分語りのほうが断然おこしろいですねw
MOTHERの内容も良かったのですが、主人公のLvが上がると一定Lv以下の敵にエンカウントしたときに
バトルが省略されるというシステムにかなり驚きました。
DQ10でもチムクエなんかで弱いMAPがあるとだれもやらないのですがそういうシステムがあればとも毎回思ってしまいますね
本当に今日は悲しい日です。ご冥福をお祈りします。
マザー2は本当に素晴らしいゲームでした。
ご冥福をお祈り申し上げます。
先代山内氏に続き任天堂は訃報が続きますね。
山内氏はお年を召されていましたが,岩田さんはまだまだ若く,青天の霹靂です。
社長に就任されてからはネット上でバッシングする人が後を絶ちませんでしたが,
遊び手の目線で技術者としてもゲームを追及していく数少ないクリエイターだったのは仰られる通りだと思います。
読んだらやりたくなりました。マザー2はスーファミ版の音質がとても好きなので、ひっぱりだしてやってみます。
それにしても残念。
糸井「開発頓挫寸前だったのに、岩田が来たらすぐ出来た」
マザー2は紛れもない名作RPGですな
そして、ファミコン末期からスーファミ経由してPS64に移行し今に至るおっさんゲーマーにとって、岩田氏は間違いなく天才でした
惜しい人を亡くしてしまった
ヒトが見えるモノっていいですよね。ゲームもブログも。
マザー2はおもしろかったですね。
当時出てた秘密のたからばこ?とかいう攻略本も、ボロボロになるまで読んだ記憶が。
王者の剣手にいれた喜びが忘れられないw
岩田さん好きでした。
ゲーム詳しくないけどほぼ日とかでよく見てました。
会ったことないけど信頼できる人でした。
宮本さんもね。
最後に広告が貼ってあってちょっと読後感がクスッとなってしまいましたがw
自分は任天堂ゲーム自体はもはや触れなくなってしまった(そもそもゲーム機も買わなくなってしまった)のですが、
ゲーム好きとして周辺情報はよく見ていて、だから岩田さんの対談記事とかもよく読んでました。
話すことや視点がいちいち面白いんだわ。
Masterが「ファンタジスタ」と述べてますがほんとそうですね。
そうやって、ただの消費者である自分に目が覚めるようなコンテンツを生み出してくれる創作者は、
受け身がちな自分の生活を高揚させてくれる存在だし、
だからこそ失われてしまうのはものすごくさびしい。
ゲーム好きな主が早速記事にしてくれてこうしてコメント書けて、ちょっと慰められました。