Astoltia Kids Are Alright!!! -Second-
※本記事は筆者が実際に体験した出来事を一部脚色して執筆したものとなります。概ねノンフィクションです。
朝か・・・。
眠い目を擦りながら目覚める。
時刻は6時を少し回ったところだ。
少し前の俺は起床時間が昼過ぎというのが当たり前のような荒んだ生活をしていた。
毎日のように女と深夜まで酒を飲み、ベッドを共にし、そのまま眠りこけるという生活だったからだ。
それが特段楽しいわけではなかった。
しかし他にする事もなかったのでそんな生活が続いていたわけだ。
女どもは俺の金と地位にしか興味が無い。
そういうのが透けて見えてしまうがために、より一層コミュニケーションをつまらないものにしていた。
・・・昔のように色んな人たちともっと何の壁もなく接したい。
俺には、そんな願望が自分では気づかないうちに芽生えていたのだろう。
10代の頃は皆同じだった。
いや、もちろんスポーツができるとか勉強ができるとか見た目がいいとか、そういった面での差異はあったかもしれないが、大人になった今ほど明確な差はそこにはなかったはずだ。
これは能力面の差が開いたわけではなく、単純に年齢を重ねるごとに人と人との距離感みたいなものが開きやすくなっているからの気がする。
俺自身は金を持っている事も、仕事をしなくても何不自由なく暮らす事も、別に自慢するような事ではなく、ただただこれまで生きてきた結果そうなっただけであるというケセランパセランのような感覚でここまできたのである。
しかし多くの人はそれに対して大きな想いを抱くようだ。
ある人は「すげー」と言い、ある人は「嘘つけや」と言い、ある人は嫉妬に狂った発言をする。
そういうノリというかリアクションみたいなものに俺は辟易していた。
もっと普通がいい。
少年だったあの頃のようにお互い特に何も考えずにただただ遊んでいたい。
それだけだ。
俺は早起きになった。
それはなぜかというと、少年と出逢ったからだ。
少年の朝は早い。
少年は毎日5時台に起床して冒険に出かける。
日替わり討伐を毎日やるのだそうだ。
・・・あれは少年と出会った翌々日の事だっただろうか。
こんな思い出話がある。
・アクア・「ぼうけんいきませんか?」
唐突なフレンドチャット。
俺はその時魔法の迷宮でキラーマジンガ持ち寄りをやっていた。
先日フレンドになったキッズからのチャットだ。
冒険とはこれまたワクワクする響きではないか。
俺「いいよ、今迷宮だから10分後ね」
・アクア・「OK!」
そうしてサクッとキラーマジンガを討伐し、アクアと合流する。
俺「何するの?」
・・・・
反応がない。
どうした?
うお!
アクアが俺の住宅にルーラで飛んできた。
アクアは俺の住宅の庭を走り始めた。
・アクア・「はたけない」
水遣りにきてくれたのか。
俺「畑は面倒だからやってないよ」
・アクア・「もうかるからやったほうがいい」
なんと小学生に金の稼ぎ方を教えてもらってしまった。
俺「そうか、じゃあ今から植えるよ」
・アクア・「ぐれーがもうかる」
なんと小学生のくせに相場に詳しいらしい。
意外とやり手ではないか。
俺「そうなんだ、詳しいね」
・アクア・「チームのひとがおしえてくれる」
そうか、チームか。
やはりキッズはチームに囲われているんだな。
俺はアストルティアにおいてチームというシステムは個人的には全く意味がわからない絆強制システムとして認識しており、どちらかというと嫌悪感のあるものだったのだが、彼のようなキッズをスムーズな冒険のたびへといざなう仕組みとして機能していると考えると、やはり有効なものなのだと考えを改めた。
ちなみにアクアの所属しているチーム名は週間少年ジャンプの某漫画のタイトルをモチーフにしたものだった。
やはりこのようなコテコテのチーム名のところにキッズは集結しているのだろうか?
少しこのチームに興味が沸いてきた。
俺「チームは何歳ぐらいの人が多いの?」
・アクア・「おばさんが多い。半分ぐらいおばさん」
俺「そうなんだw」
予想外だった。
何とおばさんが多いとは!
キッズとおばさんの2大属性はどこからともなく同族を呼び寄せる能力を持っているというから、たまたまこのチームの初期メンバーだったおばさんが大量のおばさんを呼び寄せ、またそのおばさん達が大量のおばさんを呼び寄せた結果が今の形なのかもしれないな。
・アクア・「でもみんななんさいかはっきりいわない」
これには爆笑してしまった。
天然で言っているのだろうけど、確かに年齢をはぐらかすやつらが多いという事はリアルにおばさんが多いのだろう。
キッズとはかくも純粋で残酷な生き物なのか、というのを実感する発言だ。
アクアはチャットを打つのが異常に遅いが、チャットの内容が面白いためストレスを感じさせない。
私も物書きとしてこの点は見習わなければならないと思った。
更新頻度は低くても良いからクオリティの高いものを提供できるように頑張ろう、と心に誓った。
ところでptを組んでから既に15分ほど経過している。
15分で会話がたったこれだけというのもびっくりだが、そもそも冒険に行くと言いつつどこに何をしに行くのかすらまだ聞いていなかった。
俺「で、何するの?」
・アクア・「とうばついく」
日替わり討伐か。
日替わり討伐は俺はほとんどやらないが、キッズにとっては最も単純かつ効率的な金策なのだろう。
せっかく誘ってくれたし久々に討伐に繰り出すか!
俺「いいよ、行こうか!」
するとアクアは無言でメギストリスサーバー1へとルーラを飛ばした。
討伐を購入するんだな。
5分ほどアクアはうろうろしていた。
討伐を買う際は花壇の真ん中あたりで立ち止まってチャットログを見ていればいいだけのはずだが、アクアはずっとメギストリスをうろうろしている。
こいつまさかチャットログの見かたを知らないのだろうか?
さすがキッズ。
これは足で良い情報を得るという昔ながらの冒険。
リアルな冒険だ。
そりゃあそうだよな、ログとか意味わかんないよな。
喋ったやつの声は喋っている最中しか聞こえないのが普通だよな。
アクア、お前は正しいよ。
だからログ見ればいいじゃん、なんて無粋な事おれは言わないよ。
思う存分、足で良討伐を探してくれ。
それからまた5分ほど物色していたアクアだったがついにお目当ての討伐を見つけたらしい。
・アクア・「ぎるどんかう」
俺「お金渡すよ」
・アクア・「このまえのおれいにおごる」
キッズーーーー!
なんていいやつなんだ!
この前いっしょにアトラス強を討伐したお礼に討伐を奢ってくれたアクア。
お金じゃない、お前のその気持ちが嬉しいよ。
そうして無事討伐を購入する事ができた。
俺「よっしゃ、行こうか!俺まもの使いやろうか?」
・アクア・「今日はもう終わります」
おい!!!!
何でやねん!
買うだけ買って行かんのかい!!!
俺「え、行かないの?」
・アクア・「がっこう」
そうしてアクアは「がっこう」の一言を残しログアウトしていった・・・。
時刻は7時10分。
そうか・・・、小学校行く準備しなきゃいけない時間か。
こうして俺の朝の1時間は畑に水をもらい、日替わり討伐を小学生に奢ってもらうという形で幕を閉じた。
この時間を無駄だと思うか?
俺は思わないね。
キッズに元気を分けてもらった気分さ。
今日も一日頑張れるぜ!
純粋無垢な悪魔、アクアの冒険は始まったばかりだ!
次回、まもの使いキッズの衝撃があなたを襲う。
乞うご期待!
震えて待て!
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震えています。
最近、Businessさんのブログを楽しく読ませていただいています。
僕は物書きでやっていきたいと考えている未成年なのですが、
あなたの持つそのとても広い視野にあこがれています。
唐突ですが、昨今の現代日本の社会に足りないのは、他人をおもんばかる心だと感じています。
つまるところ、他人の立場をどれほど理解できるかということです。
多様な視野を持つからこそ、あなたの文章からその心が感じ取られるのだと思います。
>足でいい情報を得るという昔ながらの冒険
>そりゃあそうだよな、ログとか意味わかんないよな。
素敵です。
これからも、頑張ってください、Master。
続き期待してます!
ビジネスさんって何者なんだろうw
働かないでいいとか羨ましすぎる。
このワードプレステーマ有料のやつだし、アフィリエイターさん?
今回の話しだけで震えました
オモシロ過ぎ。ビジネスさん、文才溢れてますね。
くっそおもしろいんですけどっ!!
凍えて待つ{(-_-)}
なんでこんな改行多いんすか?
自分はネタに消化できる人と場がないとイライラで終わりそうですw
効率効率でやっている程このキッズの自由さに苛立った後
反省する様な気がする。
眩しすぎる
やっぱオンゲは色んな年代の人がいたほうが楽しいな
私がチムクエ中にナンパされたキッズもまんまこれで笑ってしまいました。
キッズはかわいいですが悪魔ですね、ほんと
前半の文章がキッズをさらにピュアにひきたてていいねw
ピュア過ぎる!!やはり少年はドラクエをやるべきだ!
ググったりせずに友達と情報交換したり、街中の人のセリフをノートにメモしたり、授業中に意味もなくスライムの絵を描く練習したり(地味にムズイ)、夕方にドラクエいい所なのに親に犬の散歩を頼まれ外で見る夕空を眺めながらこの世界のどこかにいる魔王をいつか勇者として覚醒した俺が倒すと誓ったり、いつまでも16歳の誕生日の朝の気持ちを忘れずに、そういうものにわたしはなりたい。
きゅんきゅんしながら読んでます
・アクア・可愛すぎます!
ちなみにわたしになついてくれてるキッズはまだ2.0踏み入れてないです
お金はお年玉で余裕であるらしいですがお母さんにいいと言ってもらえないらしいです
寂しい‥
すごいほっこりした(小並感
年取ってくると自分がどんどんすれて行くのがわかるんで、
彼らの純真さがまぶしいっすな
なんのかんのキッズは大事にしなきゃですよね