2013年ももうすぐ終わりが近づいてきた11月下旬。
俺は行きつけの飯田橋からちょっと離れたところにある居酒屋で独りで呑んでいた。
俺は心身ともに疲れきっていた。

 

■これまでのお話
とあるオーガの手記その1
とあるオーガの手記その2
とあるオーガの手記その3
とあるオーガの手記その4
とあるオーガの手記その5
とあるオーガの手記その6

 

 

最近はこれまでにも増して仕事が激務だ。
出版不況だと言われる昨今、俺の勤めている企業も例外ではなく非常に厳しい状況。
数年前までは結構な人数の派遣社員がいたが、今はもうほとんどいない。
派遣社員を雇う体力がなくなってきているのだろう。
そのしわ寄せは当然我々正社員に押し寄せており、一人あたりの実質業務量は相当なものになっている。
正社員の中でも使えるやつ、使えないやつというのが当然いて、我が社の場合は、バブル期入社の社員達を中心として無茶苦茶な大量採用を行った弊害からなのか、使えない人間が多く、いわゆる窓際族のような存在になっている。
そんなやつらに仕事をふっても、まともにこなしてはくれない。
結果として俺のようなまともな社員が割を食っているのだ（自分で言うのもちょっとあれか？）。
平日は終電か終電後のタクシーでの帰宅がほとんどになったし、土日も大体どちらかは出勤しているような状態だ。

 

 

 

出版業界というと詳しくない人からしたら華やかなイメージを持つ人間も多いかもしれない。
しかしそれはとんだ幻想だという事をここで言っておきたい。
まず日本の出版社には3大巨頭ともいえる存在の
「集英社」
「講談社」
「小学館」
が君臨している。
この3社は誰でも知っているだろう。
出版業界に詳しくない人が思い浮かべる華やかな出版社のイメージというのはこの3社によるものだ。
実際この3社は不況なんてものともしないパワーを持っている超優良企業だ。
社員の年収は物凄くいい。
この3社でいえば30代後半ぐらいで1000万を越える。
オフィスもドラマに出てくるような綺麗なビルだ。

 

 

しかしそれ以外のほとんどの出版社は全く別の業界といってもいいぐらい事情が異なる。
どこも給料はめちゃくちゃ安いし、激務だし、福利厚生もゴミみたいなもんだろう。
オフィスはボロいビルの中に入っているケースがほとんどだ。
（一応誤解のないように書いておくと、医学書院のような専門系出版社で物凄く給料の良い例外的な存在もいるにはいる）

 

 

まあ俺は大学すら出ていない身分なので、出版社で働く事に憧れはしたものの、当然大手に入れるわけもなく今の出版社で働いている。
その事自体は仕方がないかなと思っている。
もし人生やり直せるなら絶対大学に入って、集英社を目指すけどさ（笑

そんなわけでこれを読んでくれている皆さんにも俺の置かれている状況が伝わったかと思う。
しょっぱい出版社で働いてはいるものの、一応出世コースにはのれるぐらいには頑張っているんです（笑

 
・・・話を戻そう。
俺は激務でほとほと参っていた。
その日は珍しく22時前に仕事をあがれたのでたまには独りで呑もうと思って行きつけの居酒屋に行ったんだ。

そこで最近の嫁の事を思い返した。
仕事が忙しすぎてあまり考えていなかったが最近の嫁は明らかに変なんだ。

 

 

まず前は週に3回ぐらいはしていた夜の行為が最近は全くない。
俺は激務でもその辺の欲は収まらないタイプなので、ガンガンいく。
嫁も喜んでいたはずだ。
だが最近は拒まれるケースがやたらと多い。

 

 

次に明らかに夫婦の会話が減った。
これはドラクエ10に嫁がはまりすぎているからというのもあるんだろうが、話しかけてもリアクションが薄くなって会話が前のように続かないのだ。

 

 

そして飯が明らかに手抜きになってきた。
前は一汁三菜を絶対に守っていたはずなのに、最近はやれカレーだの、ハンバーグだの、買ってきた惣菜だのと、単品のおかずに生野菜がちょろっとあってあとはご飯、というメニューばかりなのだ。
仕事で疲れて帰ってきてこれだと結構参る。
1年前は俺の帰りが遅くても晩飯を食べるのを待っていてくれていっしょに食べていたが、最近は俺が帰ってくると当たり前のように自分は食事を済ませている。

 

 

考えれば考えるほどおかしい。
嫁は明らかに変わってしまった。
一体なぜなんだろうか？
思い当たる節は全然ない。

 

 

いや・・・・
一応ある。
ドラクエだ。
しかしゲームごときでここまで俺に対する態度が変化するものなのか？
わからない。

 

 

という感じで色々と考えていたら酔いがまわってきた。
そして終電の時間も近い。
そろそろ家に帰ろう・・・・

 

 

そして電車に乗り、帰宅する。
我が家は新宿にあるのでかなり通勤時間は短い。
激務の中でそれがかなり助かっている。
自慢じゃないが、賃貸ではなくマンションを数年前に買ったのだ。
（もちろんローンだが）

 

 

家に帰ると嫁はいつものようにドラクエをしていた。
「ただいまー」と挨拶をすると、「おかえりー」と返事は返ってくるもののその後の会話は特にない。
出迎えももちろんない。
テーブルの上に置いてある晩飯を自分で温めて食べる。
今日は外で呑んできたのであまり腹が減っていないが嫁が作ってくれた料理だし食べなければ。

 

 

メニューは・・・
カレーだ・・・・

 

 

昨日もカレーだったんだが・・・
さすがにこれは無いだろうと思い嫁に文句をいう。

 

 

俺「おい、昨日もカレーだったけど今日もなの？」
嫁「うん、忙しくて」
俺「え、でもお前7時ぐらいには家帰ってきてるんじゃないの？
嫁「うん、そうだけど色々あるの」
俺「色々ってなんだよ」
嫁「いいじゃんなんでも！」

嫁が声をあらげる。
俺も酔っていたせいかムッとしてしまいここから口論になった。
細かい口論の内容は覚えていないが最後に言われた言葉が凄く印象に残っている。

嫁「○○君は全然だめ！もうほっといてよ！好きにさせて！」

どういう事だ・・・
好きにさせてって・・・
俺はこの言葉を聞いて口論する気力もなくなりベッドで寝た。
嫁はそのまままたドラクエをプレイし続けていたようだ。

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Flooded With Business 管理人より一言

クリスマスなので連続更新してみました。
メリークリスマス！

ところでこの手記の中にも出てきましたが、出版業界というのは大手3社を除くと本当にきつい業界らしいですね。
ニコ生等でみんなが小バカにしているサイトーVさんですが集英社勤務でしかもVジャンプ編集部という花形部署にいるわけなので、実はエリートサラリーマンなんです。
世の女性達からはモテモテのポジションなんですよ。
これを読んでいる中高生の皆はちゃんと大学に行ってまともな会社に入れるように頑張ろうね！
誰かさんみたいにニートになると人生辛いよ！
じゃあね！

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